神殺しのクロノスタシスⅢ
分かるよ。テント張るのって、結構難しいもんな。
正確な場所にピンを刺しポールを建て…と、様々な手順を踏まないと、綺麗に張れない。
俺もやったことあるから、分かるよ。
なかなか、初心者で、しかも一人で行うってのは、骨の折れる作業だ。
だがな。
まさか、杭を立てるのに地面に風穴を開ける奴がいるとは、その本も想定してなかったろうな。
猿でも分かるはずなのに、ベリクリーデには全然分かってない。
あんな穴を開けたんじゃ、杭を立てるどころじゃないだろ。
ちょっと考えたら分かりそうなものを…。
あぁ、駄目だ。ベリクリーデに一般常識を求めるな。
地面のみならず、俺の胃にまで穴が開く。
「で、頑張って建てようとしたんだけど、よく分かんなくて」
「それで絡まってたんだな?」
「うん」
成程。よーく分かった。
お前ならそうだろうよ。
俺でさえ骨が折れる作業を、お前が器用にこなしてみせたら、俺はお前の影武者を疑うね。
地面に穴を開けていた理由と、テントに絡まってた理由は、これで分かった。
で、次に。
「野良犬を捕まえてきたのは、何だったんだ?」
「あ、そうだ、犬。折角捕まえたのに、ジュリスが逃しちゃったから…。また捕まえなきゃ」
「おい待て。何処に行こうとしてる」
やめろ。
「だってジュリス、あれ食糧…」
「犬を食おうとするな!」
「何で?」
何でってお前。
「そもそも、何で犬を食べようとしてるんだよ!?」
「?キャンプの醍醐味は、豪快な骨付き肉のバーベキューだって、本に書いてあったから」
成程、やはり本の入れ知恵か。
別に骨付き肉じゃなくても良いだろと思ったが、確かにキャンプでバーベキューは定番だ。
しかし。
「犬じゃなくても良いだろ!骨付き肉が食べたいなら、牛でも豚でも…」
「牛や豚が良いのに、何で犬は駄目なの?」
え?
「何で?犬肉美味しいよ?」
食ったことあるのかよ。
まぁ、そういう文化の国もあるとは知ってるが。
しかしルーデュニア聖王国では、犬肉を食べる習慣はない。
「それに、犬ならそこら辺にいるから、わざわざスーパーで骨付き肉買わなくて良いもん。天然モノの、生きの良いお肉だよ」
妙に説得力を持たせようとするな。
「違うんだよベリクリーデ。犬はな…犬は駄目なんだ」
「何で?牛や豚は当たり前に食べるのに、犬は何で駄目なの」
「それは…その、動物愛護団体的なところがな?黙ってないんだよ」
文化圏によるだろうが、あくまでルーデュニアでは、犬というのは一般的に、愛玩動物であって。
決して、食肉用の動物ではないのだ。
でも牛や豚や鶏の肉は普通に食べるじゃん、同じ動物なのに、とか言われると。
それこそ、めちゃくちゃ議論の白熱する話題になりかねないんだよ。
「動物愛護…?でも、犬も牛も、同じ動物なんだから、」
「あー!もう、分かった!」
これ以上、この問題について議論してたら。
専門家の人が飛んできて、熱い議論が交わされてしまう。
故に、俺は考えることを放棄した。
「骨付き肉なら、俺が買ってきてやる!だから、犬を襲うのはやめろ!」
「え、でも私、犬肉食べたかった」
好きなのかよ。
「犬よりもっと美味い肉買ってきてやるから!な!それで納得してくれ、頼むから」
「うーん…。分かった、ジュリスがそこまで言うなら…。犬は諦めるよ」
良かった。
ちょっとしょんぼりしてんじゃねぇよ。
仕方ないだろ。この国では、犬食べたなんて言ったら、黙ってないんだからさ。
動物愛護団体的なところが。
正確な場所にピンを刺しポールを建て…と、様々な手順を踏まないと、綺麗に張れない。
俺もやったことあるから、分かるよ。
なかなか、初心者で、しかも一人で行うってのは、骨の折れる作業だ。
だがな。
まさか、杭を立てるのに地面に風穴を開ける奴がいるとは、その本も想定してなかったろうな。
猿でも分かるはずなのに、ベリクリーデには全然分かってない。
あんな穴を開けたんじゃ、杭を立てるどころじゃないだろ。
ちょっと考えたら分かりそうなものを…。
あぁ、駄目だ。ベリクリーデに一般常識を求めるな。
地面のみならず、俺の胃にまで穴が開く。
「で、頑張って建てようとしたんだけど、よく分かんなくて」
「それで絡まってたんだな?」
「うん」
成程。よーく分かった。
お前ならそうだろうよ。
俺でさえ骨が折れる作業を、お前が器用にこなしてみせたら、俺はお前の影武者を疑うね。
地面に穴を開けていた理由と、テントに絡まってた理由は、これで分かった。
で、次に。
「野良犬を捕まえてきたのは、何だったんだ?」
「あ、そうだ、犬。折角捕まえたのに、ジュリスが逃しちゃったから…。また捕まえなきゃ」
「おい待て。何処に行こうとしてる」
やめろ。
「だってジュリス、あれ食糧…」
「犬を食おうとするな!」
「何で?」
何でってお前。
「そもそも、何で犬を食べようとしてるんだよ!?」
「?キャンプの醍醐味は、豪快な骨付き肉のバーベキューだって、本に書いてあったから」
成程、やはり本の入れ知恵か。
別に骨付き肉じゃなくても良いだろと思ったが、確かにキャンプでバーベキューは定番だ。
しかし。
「犬じゃなくても良いだろ!骨付き肉が食べたいなら、牛でも豚でも…」
「牛や豚が良いのに、何で犬は駄目なの?」
え?
「何で?犬肉美味しいよ?」
食ったことあるのかよ。
まぁ、そういう文化の国もあるとは知ってるが。
しかしルーデュニア聖王国では、犬肉を食べる習慣はない。
「それに、犬ならそこら辺にいるから、わざわざスーパーで骨付き肉買わなくて良いもん。天然モノの、生きの良いお肉だよ」
妙に説得力を持たせようとするな。
「違うんだよベリクリーデ。犬はな…犬は駄目なんだ」
「何で?牛や豚は当たり前に食べるのに、犬は何で駄目なの」
「それは…その、動物愛護団体的なところがな?黙ってないんだよ」
文化圏によるだろうが、あくまでルーデュニアでは、犬というのは一般的に、愛玩動物であって。
決して、食肉用の動物ではないのだ。
でも牛や豚や鶏の肉は普通に食べるじゃん、同じ動物なのに、とか言われると。
それこそ、めちゃくちゃ議論の白熱する話題になりかねないんだよ。
「動物愛護…?でも、犬も牛も、同じ動物なんだから、」
「あー!もう、分かった!」
これ以上、この問題について議論してたら。
専門家の人が飛んできて、熱い議論が交わされてしまう。
故に、俺は考えることを放棄した。
「骨付き肉なら、俺が買ってきてやる!だから、犬を襲うのはやめろ!」
「え、でも私、犬肉食べたかった」
好きなのかよ。
「犬よりもっと美味い肉買ってきてやるから!な!それで納得してくれ、頼むから」
「うーん…。分かった、ジュリスがそこまで言うなら…。犬は諦めるよ」
良かった。
ちょっとしょんぼりしてんじゃねぇよ。
仕方ないだろ。この国では、犬食べたなんて言ったら、黙ってないんだからさ。
動物愛護団体的なところが。