神殺しのクロノスタシスⅢ
すると。

「ふはは。抗うか。私の闇の力に抗うとは、身の程を知れ…!」

「…!お前、やっぱり入れ替わっ…」

…あれ?

ベリクリーデの中にいるのって、聖なる神だよな?

今、闇の力って言わなかった?

闇の力は邪神だろ?

ど、どうなってるんだ?

「とうとう来てしまったようだな、この日を千年待ちわびた。我らの宿命の対決のとき…」

「千年…?」

千年前、何かあったっけ?

我らって何だ?聖なる神にとって宿命の対決…って言ったら、邪神との邂逅のはずだが。

邪神いないぞ。

すると、そのとき。

俺は、ベリクリーデが片手に、一冊の本を持っていることに気づいた。

「ふははは。何人も、私を止めることなど出来ない!必殺、セイントダーク…えーと、違った」

ベリクリーデは、片手の本をぺらっ、と捲り。

しゅばっ、と手のひらを突き出した。

「…必殺、セイントホーリネスサクリファイス!」

「…」

…何も出てませんけど。

ベリクリーデの持ってる本の、タイトルが見えたんですけど。

『猿でも分かる!厨二病になる方法』

…なぁ。

俺って、もしかして。

物凄い勘違いをしてしまったのでは?

いや、悪いのは俺ではない。

「…ベリクリーデ」

「我が名は、漆黒を統べし魔の王!」

「お前の名前はベリクリーデだ」

誰が魔の王だ。

…とりあえず、これだけは言わせてもらおうか。
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