神殺しのクロノスタシスⅢ
…俺は、死を覚悟したというのに。

まさか本当に、今日は厨二病を拗らせてただけだったなんて。

そしてまさか、厨二病になる方法、なんて本がこの世に存在するなんて。

あのさ、もうあの「猿でも分かる」シリーズ、マジで苦情入れてやろうかな出版社に。

「変なもん作ってんじゃねぇよ!」って。

それに振り回される奴だっているんだぞ、俺みたいにな。

そして、その本をオススメコーナーに置くな。

店員のオススメコーナーじゃなくて、「猿でも分かる」シリーズのオススメコーナーなんじゃねぇの。

…ともあれ。

あの後は、大変だった。

主に俺が。

分かる?この気持ち。

シュニィに、「ごめん。なんかさっきのは、ベリクリーデが厨二病拗らせてただけみたいで、全然神とか復活しないみたいだ」って伝えたときの、俺の申し訳無さ。

シュニィ、ポカーンとしてたよ。

いきなり、理由もよく分からず緊急避難させられた聖魔騎士の皆も、同じくポカーンとしてた。

もう土下座したくなったよ。俺。

しかもその後、連絡を受けて、血相変えたシルナ・エインリーと羽久・グラスフィアが駆けつけてきてさ。

二人にも、もう申し訳ないのなんのって。

聞いたところによると、連絡を受けた際、シルナ・エインリーは驚きのあまり、食べていた生チョコアイスをひっくり返してしまったらしく。

「よ、良かったー、何事もなかっ…。あっ!私のチョコアイス!チョコアイスが〜…」と、膝から崩れ落ちていた。

本当申し訳ない。

羽久・グラスフィアの方は、「ごめん、あれ誤報だった。ベリクリーデが遊んでるだけだった」と伝えると。

無言で、同情の眼差しを向けてくれた。

お互い相棒には苦労してるな、の目だった。

マジでもう、関わった全ての皆さんに申し訳ない。

フユリ様に報告する前で良かった。フユリ様まで巻き込んでたら、もうごめんなさいじゃ済まないレベルだったぞ。

そうだというのに、当の本人であるベリクリーデは、自分が何を悪いことしたのか、よく分かっていないらしく。

きょとんとして、首を傾げていた。

そうだな、お前はただ、厨二病ごっこして遊んでただけだもんな。

それを勝手に俺が勘違いして、騒ぎを大きくしてしまっただけ。

だからベリクリーデ、お前は何も悪くない…。

















…って、そんな訳があるか。
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