ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「芽衣の家って、一軒家?」

「そうですよ」

「芽衣の部屋で今日は寝るの?」

「そのつもりでお願いします!」



家に到着。

玄関の扉を開ける私。

家の中へと入っていく私のあとを里紗先輩が追う。



「……お線香の香り?」



里紗先輩がぽつりと呟く。

自然と目が合う私たち。


そっか。

理沙先輩にはまだ話していなかったもんね。



「お母さんが、小さい頃に亡くなったので」

「……え、」

「その分、家計を支えようとお父さんが頑張ってくれているんです」



里紗先輩の表情が曇ったことが分かる。

そんな表情をしてほしくないから、周りの人に“片親”ってことを言いたくなかった。

だけど、里紗先輩は、すぐに表情を戻して。



「お母さんに挨拶したいわね。……お線香あげてもいい?」

「……里紗先輩」



私は仏壇の前に案内する。

そこにはお母さんの笑顔の写真が飾ってある。


お線香をあげる里紗先輩を眺めて思う。
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