ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「芽衣に触れたいって思うのも、つい触れてしまうのも、全部好きだから」

「っ、」

「芽衣。大好きだよ」



そんな優しい声で。

甘い声で。

甘い言葉を言われたら。



「ふぇっ、」



泣いてしまうよ。


幸せ。

その感情で心がいっぱいになる。

泣いている私を、抱きしめ、撫で続けてくれる奏多先輩。

私は奏多先輩のシャツを握りしめる。

この温もりを忘れたくない。

ずっとこのまま、幸せが続いてほしい。

幸せが逃げないでほしい。


抱きしめられた視界の中。

右手の小指に輝くピンキーリングが目に留まった。


『右手は幸せをつかめるように』

『左手は幸せが逃げないように』


……幼い頃、お母さんからもらった言葉を思い出す。
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