ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
右手に輝くピンキーリング。

私は抱きしめてくれている奏多先輩の胸をそっと押し、空間を作った。



「芽衣?」



私は右手のピンキーリングに手をかけ、そっと外す。

それから、ピンキーリングを左手に移し替える。

幸せが逃げないように、と祈りを込めて。


奏多先輩を見上げる。

少し驚いた表情の奏多先輩。

だけど、少し照れくさそうに笑って。

嬉しそうに私の頭を撫でてくれた。



「幸せ?」

「幸せですっ。これで、幸せが逃げません!」

「芽衣らしいね」



そう言って、奏多先輩は再び笑う。

つられて私も笑顔になる。

この学校に入学してから、1番笑顔だと思う。



「お母さんに感謝しなくちゃ」

「そうだね。引き寄せてくれたお母さんに感謝しないと」



私の心に寄り添ってくれる奏多先輩。

それが凄く嬉しかった。


今、とても幸せだよ。

お母さん……。

……ありがとう。
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