ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
なんで。

なんで、こんなひどいことをするの……。


涙をこらえる私。

本当は思い切り泣きたいけど、こんなところで屈してはダメだ。

私は落書きを必死に消すけれど、黒板の上までは手が届かなくて。

どう頑張っても、完全に落書きを消すことは出来なかった。


どうしよう。

消さなきゃいけないのに。

消すことができない。

届かない。


それでも必死に消そうとしていると。




「望月さんーっ」



後ろから名前を呼ばれて振り返る。

そこに立っていたのは、昨日の放課後、衣装を作っている私に話しかけてくれたクラスメイトだった。


なんで。

『教室では話しかけないで』って言っていたのに、なんで自分から話しかけに来ているの?

クラスメイトも沢山いるのに……。
< 166 / 253 >

この作品をシェア

pagetop