ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「ちょっと!」



思わず大声を上げる。

それは、私の大切なものなのに。



「返してっ!」



私は返してもらおうと手を伸ばすが、彼女は不気味に笑って教室の窓へ走っていった。


なにするつもり?


私は慌てて後を追いかけたけれど、時すでに遅し。

悪魔のような笑みを浮かべる彼女は窓の外へ思いきりピンキーリングを投げた。



「あっ!」

「調子に乗っているあんたが悪いんだよ?」



私はその言葉を聞く前に教室を飛び出していた。

ピンキーリング!

小さな私の宝物が消えてしまった。


急いで上履きを履き替え、私は校庭へ走った。

校庭は広くて、どこにピンキーリングがあるのか見当もつかない。

この時期は雑草が生えやすいのか、草もいっぱい生えているし。

だけど、そんなことは言っていられない。

探し出すしかないんだ……。


私は必死に探す。

手が汚れても、膝が汚れてもかまわない。

授業に遅れてもいいから。

それでもいいから、見つかって……。



「ウケるんだけどー」
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