ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
気が付けばお昼休み。

チャイムの音が聞こえて、時間の経過の速さに気付く。


お腹空かないや。

だって、大切なピンキーリングをなくしてしまったんだもん。

こんな気持ちでお昼ご飯なんて食べられないよ……。



「芽衣っ」



早く見つけなきゃ日が暮れてしまう。

ピンキーリングがなくなるって、こんなにも怖いことで不安になるんだな……。

それだけ私にとっては大切なものなんだ。



「芽衣っ!」



私の名前を呼ぶ声が聞こえたと思った瞬間。
温かいものに抱きしめられた。

ぎゅっと、強く……。



「芽衣……」



顔は見えないけれど、この声は間違いなく。



「奏多先輩……」



奏多先輩が私を抱きしめてくれている。

安心感に包まれる。

まるで『大丈夫だよ』と、言われているみたいで……。
< 171 / 253 >

この作品をシェア

pagetop