ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
……頼っていいのかな。

ううん。

奏多先輩を頼りたいんだ。



「奏多先輩」

「うん」

「ピンキーリング、一緒に探してくれますか?」

「もちろん。一緒に探そう」



ありがとうございます。

腕の中でつぶやく。


涙があふれそうだった。

ピンキーリングはなくしてしまったけれど、今、とても幸せかもしれない。


ザアザアと降る雨の中。

私たちは雨に濡れることも気にせず、ピンキーリングを探す。

広い校庭を隅から隅へと探す。


草むらの中。

物陰の下。

木の下……。


探し始めてから何時間が経っただろうか。

そろそろ、探すのを諦めないと奏多先輩が風邪をひいてしまう。

雨の中、一生懸命探してくれているから、制服も汚れてしまっているし……。
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