ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
……強くならなきゃ。

ううん。

強くなりたい。

自分の力で、この空気を変えたい。

……大切な人の笑顔を守りたい。



「……私がっ!」



私は叫ぶように大きな声を出した。

しん、と、静まり返る教室。

だけど、もう、私の手は震えていない。



「私がずっと、嫌がらせに耐えてきたのは、奏多先輩に心配をかけたくなかったから!」



……大切な人を守るため。

私はどんなに辛くても我慢してきた。

このことが奏多先輩に知られてしまったら、奏多先輩は悲しむと思うから。



「奏多先輩の笑顔を守りたかったから! ずっと耐えてきた!」

「芽衣ちゃん……」

「私は奏多先輩の笑顔を守りたいの!」



教室で大きな声を張る私。

颯汰先輩が隣で私を見守ってくれている。

他のクラスの人たちが、何事かと私たちのクラスを覗きに来ているのがわかった。

だけど、そんなの関係ない。

今は。

この気持ちを伝えるしかない。
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