ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「人が嫌がるようなことをする奴は好きじゃない」

「……っ!」

「むしろ嫌いだね」



奏多先輩の低い声に涙目になる女子たち。

クラスの男子も息をのんでいる。

私もきっと、驚いた表情をしているだろう。

だって、奏多先輩のこんな姿見たことないから……。



「これ以上、芽衣になにかしたら俺が許さないから。……覚えておいて」



奏多先輩はそう言って私の手をつかんだ。

そのまま教室を出ていく奏多先輩。

必然的に私も教室を出る。


教室を出ていくときに一瞬振り返った私。

泣き崩れる女子たちの姿が、少し痛々しかった。


きっと、奏多先輩のことが大好きなんだろうな。

それは想像すれば、分かっていたことだけど。

好きな人に、あれだけハッキリと言われてしまえば、私だったら自分のしたことに後悔する。

彼女たちに後悔してほしいとは思わないけれど、これでクラスの空気が変わってくれたら嬉しい。

……今回は奏多先輩の力が大きいと思うけど。


廊下を歩いていく奏多先輩。
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