ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「奏多先輩っ」

「……」

「奏多先輩っ!」



私の手を握ったまま、どんどん歩いていく奏多先輩。

歩くスピードが速くて、私は小走りになってしまう。


それに。

なんだか、奏多先輩、怒っているような雰囲気だし……。

声をかけても返事がないので、私は黙ってついていくことにした。

しばらくして、奏多先輩が立ち止まった場所は屋上へ続く階段の前だった。



「芽衣。……来て」



そう言って階段を上る奏多先輩。

私も転ばないようについていく。

屋上の扉を奏多先輩が押し開ける。

明るい太陽の日差しが私たちを柔らかく包み込む。


と、思った瞬間。

体が引き寄せられて、気付けば私は奏多先輩の腕の中。

柔らかいけど、どこか強く抱きしめられた。
< 186 / 253 >

この作品をシェア

pagetop