ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
次は私が首をかしげる。

だって。

目の前の先輩が、私を見つめたままノートを離さなかったから。

お互い、1冊のノートに手をかけたまま、固まっている。


どのくらいの時間が流れたのか。

短いようで長い時間に感じる。


先に目をそらしたのは、先輩だった。

目をそらした先にあったのは、ノートの表紙。

偶然にも私の名前が書かれたノートだった。



「……め、い?」



“望月 芽衣”と書かれたノートと、私を交互に見る先輩。



「君の名前ってさ……」



戸惑いを隠すことができない先輩。

多分、私も同じような表情をしているんだろう。



「……望月 芽衣、です」



小さく自分の名前を呟く。

名前を言うだけなのに、心臓がドキドキして爆発しそうだ。


なんで、こんなにもドキドキするの?

目の前に、格好良い先輩がいるから?


それとも。

ユウさんが目の前にいる……、なんて、嘘みたいな夢を見ているから?
< 22 / 253 >

この作品をシェア

pagetop