ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「1枚は芽衣にあげる」

「え……」



私は奏多先輩と写真を交互に見る。

戸惑う私に奏多先輩は微笑む。



「そういえば、芽衣と写真撮ったことなかったなぁ、って」

「そ、そうですね」

「だから、今日は文化祭記念の写真」



胸がぎゅっとなった。

嬉しくて、幸せすぎて、泣きそうになった。


私はそっと写真に手を伸ばす。

手に取った写真は2回目に撮った写真。

奏多先輩に抱き寄せられている姿。


私の分の写真。

2枚撮ってくれたことに意味があるから、私は2回目の写真を選んだ。



「ありがとうございます」

「俺こそ。一緒に撮ってくれてありがとう」

「写真、宝物にします」



私は受け取った写真を優しく握る。

この写真が、しわくちゃにならないように。

奏多先輩の気持ちをずっと感じられるように。

この感情を忘れないように。


……家に帰ったら、フォトスタンドに入れよう。

大切に飾ろう。

この写真は宝物。
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