ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「奏多―。どうしたー?」



お友達さんが先輩の名前を呼ぶ。

その声によって、魔法が解かれたようだった。

ハッとする私と先輩。


……今。

お友達さんは先輩のことを“奏多”って呼んだよね……。

“ユウ”って名前じゃないなら、私の知っている“ユウさん”とは別人?



「……なんでもない」



そう言って先輩は、ノートにかけていた手を離した。

……だけど。

やっぱり、声が似ている。


この瞬間、自分の中でなにかが爆発したんだと思う。

抑えていたなにかが。

一瞬ではじけた。



「あのっ、」



気が付いたら、先輩のブレザーの袖をつかんでいた。

自分でも大胆な行動をしていると思う。

それでも。

今を逃したら、なにも変わらない気がするんだ。



「……名前。聞いてもいいですか?」



ブレザーの袖をぎゅっと握りしめる。
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