ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「望月 芽衣、です」



少し声が震えた。

自分のことを話すって、こんなにも緊張するんだ……。

話すといっても自己紹介くらいだけど。

それにすら慣れてない私は、緊張してしまう。



「芽衣、ね。……私は、天海 里紗」

「……里紗先輩」



私の名前を呼んでくれた、美人先輩こと、里紗先輩。

ポーカーフェイスをしているような表情が少し柔らかくなった気がする。

つられて、こわばっていた私の表情も柔らかくなったのがわかる。



「俺は、新井 颯汰。 颯汰先輩って呼んでねー」

「……颯汰先輩」

「うんっ。芽衣ちゃんいい子っ!」



颯汰先輩が私の髪の毛を、わしゃわしゃと撫でる。

私の、くせっ毛でふわふわの髪の毛が乱れてしまう。

だけど、こうやって笑ったのは久しぶりだから、髪の毛はされるがままにしておこう。



「芽衣」



ユウさんが私の名前を呼ぶ。

里紗先輩と颯汰先輩の視線も、ユウさんに集まる。


ユウさんと目が合って、飛び跳ねる心臓。

ドキドキしているの、気づかれていないよね……?

ユウさんと私の視線が絡み合う。
< 30 / 253 >

この作品をシェア

pagetop