ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
先輩方に、数学準備室の場所を聞いてみよう。



「数学準備室って、どこですか?」

「ああ、そこなら、この突き当りを……」

「俺が教える」



颯汰先輩の声を遮ったのは奏多先輩だった。

ここにいる全員がびっくりした表情をしている。

奏多先輩に視線が集まる。

少し気まずそうな奏多先輩は立ち上がった。



「芽衣。行こ?」

「あっ、はいっ!」



私も慌てて立ち上がる。

里紗先輩や颯汰先輩も立ち上がった。

里紗先輩は、サラサラの長い髪の毛を耳にかけ、少し微笑む。

颯汰先輩は、にこにこしながら手を振ってくれる。



「奏多、先に教室戻っているからな! 芽衣ちゃん、またね!」

「おう」

「はいっ! ありがとうございました!」



里紗先輩と颯汰先輩に頭を下げながら、奏多先輩の後ろをついていく私。

本当は隣を歩きたいのだけれど。

イケメンすぎる奏多先輩の隣を平凡な私が歩くのは、ふさわしくないだろうと思って身を引いてしまう。
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