ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
里紗先輩みたいに美人だったら、堂々と隣を歩けたのかな。

颯汰先輩みたいに明るかったら、笑って隣を歩けたのかな。


ネガティブな感情が、心の中を支配していく。

せっかく憧れで、好きだった人に会えたのに。

なんでこんな感情になるんだろう。



「芽衣」



奏多先輩が私の名前を呼ぶ。

ハッとする私の顔を覗き込んでいる奏多先輩。

顔が近いっ。

ぼんっ、と音を立てるかのように顔が赤くなるのが分かった。



「さっきから、ずっと上の空だね」

「えっ。あ、ごめんなさい」



落ち込む私に奏多先輩は、私の頭をぽんぽん、と撫でてくれる。

おかげで、沈みかけていた感情が浮き上がってくる。

奏多先輩はやっぱり魔法使いみたい。



「そういえば、天海さんが誰かと話しているの、初めて見たかもしれない」

「……里紗先輩?」

「そうそう。天海さんとはクラスが同じなんだよね」
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