ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「せっかく奏多先輩に会えたのに、心がもやもやします……」



ブレザーの袖を握ったまま、うつむく私。

そんな私の頬をすくうように持ちあげる奏多先輩。

目と目が交じり合う。



「嫉妬したの?」



意地悪く笑う奏多先輩。

奏多先輩の言う通り、私は嫉妬しているんだと思う。

頷く私に、奏多先輩は子供をあやすかのように、私の頭を撫でた。



「素直だね」



耳元でささやかれた言葉。

かぁっと、顔が熱くなる。

さっきまで複雑だった感情が一気に吹き飛ぶ。

私の反応に満足したのか、奏多先輩はご機嫌そうに微笑む。



「芽衣って、ワンコみたいだよね」

「……じゃあ、奏多先輩は猫みたいです」



ときどき、気だるそうで。

だけど、太陽みたいな笑顔を見せてくれて。

気がついたら、目の前にいる。


本当に猫みたい。

そんな、猫みたいな先輩に心を持っていかれてしまうんだ。
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