ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
少し上を見ると、“数学準備室”と書かれたプレートがあった。

お昼休みが終わるまでに辿りつけて良かった。

……お昼ご飯は食べられそうにないけど。


私は数学準備室の中に入って教科担任にノートを渡す。

ふう。

これで任務完了。


教科担任に頭を下げてから廊下に出ると、奏多先輩が壁に寄りかかりながら立っていた。



「待っていてくれたんですか?」

「芽衣が迷子にならないようにね」

「うっ……」



奏多先輩の意地悪っ。

確かに迷子になりやすい私だけど。

それを分かっていて、待っていてくれたのかな。



「ありがとうございます」



自然とこぼれる笑顔。

今日は夢みたいな1日だったなぁ。

“ユウさん”本人に会うことが出来て。

お話も出来て。

たくさん笑って。

こんな日が訪れると思わなかった。

……小指のピンキーリングに願いを込めたから、夢みたいなことが現実に起こったのかな。


そんなことを考えていると、あっという間に1年2組の私の教室についた。
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