ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「屋上だぁ……」



初めて屋上に来た。

そもそも、屋上があるなんて知らなかった。

屋上には人がいなくて。

静かに風の音だけが聞こえた。



「芽衣」



屋上の床に腰を下ろす里紗先輩。

私も真似て、腰を下ろす。

空は青いのに、この空間だけ雲がかかっているような雰囲気。

真剣な話をするんだ、と察する。



「単刀直入に言うけど。芽衣の噂が3年生の階まで届いている」

「……っ」

「3年生どころか、多分、学校全体に広まっていると思う」



ドキッと心臓が嫌な音を立てる。

噂っていうのは、私が耳にした悪い噂のことだよね……。

学校全体に噂が流れていると思うと怖くなった。

体が震える。

私ひとりだけの噂だったら我慢できるのに。

奏多先輩まで巻き込んだ噂になってしまっている。


悔しさと、申し訳なさと、後悔が心の中を占めていく。
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