ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「頭上げてください!」



私がはっきりしないから、奏多先輩は自分を責めちゃっているんだ……。

奏多先輩より私が謝るべきだと思う。

そう思って、口を開きかけた瞬間。



「謝り合いしたって、なんの意味もない気がするけど?」



里紗先輩を見れば、呆れた様子だった。

小さくため息をついて、髪をかき上げる。



「この現状をなんとかしたいなら、それを考えるべきじゃない?」



たしかに……。

里紗先輩の言う通りかもしれない。

噂に憶病になって、奏多先輩を避けてしまって。

そんなことをしている時間は無駄なのかもしれない。


奏多先輩のことが好きなのに。

逃げてばかりの私は嫌だ。

前からずっと思っていたじゃん。

『格好良いところを見てもらえるように頑張ろう』って。

いつの間にか、その思いが消えていた。



「……噂のことは気にしないようにします」

「芽衣……」

「だって。格好良いところ見て欲しいから」



瞬きをする奏多先輩。

里紗先輩は、ふっ、と笑って。



「……その”格好良い姿”は誰に見てほしいのかしら?」



意地悪く微笑む里紗先輩が一瞬、悪魔みたいに見えました。
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