ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
奏多先輩との噂を気にしないようにしようと決めたあの日。

『格好良い姿を見せたいと』再認識したあの日。

だけど、私は“噂”というものを、無視することができなくなっていた。


今度は里紗先輩を悪く言う噂が流れてしまったのだ。

実際、私のクラスでも噂が広まっている。



「天海先輩の母親、夜の仕事しているんだって」

「男遊び、激しいんでしょ?」

「天海先輩なら、納得いくわ」



里紗先輩は奏多先輩と同じくらいモテる。

あの美貌を持っていたら、男子が惹かれるのも分からなくない。

そんな里紗先輩の噂が流れるようになったのは、多分、私が原因。

学校でトップを争うほどの人気者の奏多先輩と里紗先輩が、こんな平凡女子と仲良さそうに話している……って、なったら、面白くないんだろう。


その証拠に。



「天海先輩も結城先輩も、あんな地味子にかまうとか、ガッカリなんだけど」



教室の真ん中から聞こえる非難の声。

椅子に座ったまま、膝の上でこぶしを握り締める。

うつむいている私に、さらなる声が飛んでくる。
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