ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
……奏多先輩だったら。

きっと、悪口を止めに行くだろう。

奏多先輩だったら、見て見ぬふりはしない。

絶対に。



「天海先輩って、結城先輩のことを狙っているよねー」

「体、使って誘惑していたりして!」

「ありえるーっ」



人のことを、勝手な想像で悪く言うクラスの女子たち。

そんな勝手な作り話は、もう聞きたくない。

私は震えるこぶしを強く握りしめて、席を立った。

面白おかしく笑っている彼女たちのもとへ向かう。



「天海先輩って見た目は綺麗だけど、中身は汚れている、って感じだよねーっ」

「……あの」

「分かる! 汚い部分を見た目で隠そうとしたって無駄だって!」

「……あのっ!」



彼女たちの悪口をさえぎった私。

私に背中を向けるように話していた彼女たちは、びっくりしたように振り返る。


彼女たちと目が合う。

その目は鋭くて、体が縮こまりそうになる。
< 47 / 253 >

この作品をシェア

pagetop