ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
痛みと複雑な感情で泣きたくなる。

私の力じゃダメだ……。



「勝手にコイツが転んだんでしょ⁉ 私は悪くない!」



もう、彼女の言動には耐えられない……。


そう思った瞬間。

私の体は温かいものに包まれた。



「自分は悪くない、って本当に言っているの?」

「え……っ」



その声は。

私を優しく包み込んでいるのは。



「奏多先輩……」



私を抱きしめるように、隣でしゃがんでいる奏多先輩。

突然の登場に驚く私。

驚いているのは私だけじゃなくて、目の前の女子たちやクラスメイトも同じだった。



「人を突き飛ばして怪我をさせるって、訴えられてもおかしくない話だよね?」

「っ、」

「停学処分で済めばラッキーだね」



優しく包み込んでくれているけれど、声は冷静で。

冷めているような声だった。
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