ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「もしもしっ」



私は通話開始ボタンを押して、電話に出た。



『慌てすぎっ。……で、今日はなにを作っていたの?』

「えっと。お弁当袋です……、って、なんでお裁縫していたって分かるんですかっ?」

『いつもと同じパターンじゃん。携帯が布に埋もれていたんでしょ?』



ユウさんの楽しそうな笑い声が聞こえる。

ユウさんの笑い声につられて笑う私。


この時間が好き。

ユウさんの前だと、自然体の私でいられるから。

それに、ユウさんの優しい声を聞くことができるし……。



『俺にもお弁当袋作ってよ』

「分かりました! ……って、どうやって渡すんですかっ」

『確かに!』



再び笑い声が聞こえる。

ユウさんって本当に太陽みたいな人。

声を聞いているだけで、明るい気持ちになれる。


……ユウさんが同じ学校の人だったらいいのに。

毎日楽しくなるだろうなぁ。


なんて、夢物語を考えてしまう。



『そういえば、学校で友達出来た?』



ユウさんが私に問う。

多分、ユウさんはなんとなく質問したのだと思う。


……今の私に“友達”はいない。

正直に言ったら、せっかくの楽しい空気が壊れてしまうかもしれない。


だけど、ユウさんの前では素直になってしまう自分がいて。
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