ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「友達、出来ないです。……話しかけてもらえた、と思ったら、掃除当番の代理を頼まれちゃいました」



今日の出来事を、そのまま話してしまう。



「断れないんです。断って嫌われるくらいなら、引き受けたほうがいいって思っちゃって」



良くないですよね。

思わず苦笑する。

ユウさんには、頑張っている私を見てほしいのに。

これじゃあ、格好悪い姿を見せているだけだ……。



『芽衣のことだから、掃除、最後までやったんでしょ?』

「はい」

『偉いじゃん』



電話越しで、ユウさんが柔らかく笑ったのが分かった。



『頼まれたことでもさ、逃げずに最後までやって偉いじゃん』

「そうですか……?」

『そうだよ。自分が断れないっていうのを認めて、行動しているんだから偉いよ』



芽衣は強い。

ユウさんの言葉は強く胸に刺さった。


ユウさんの言葉って凄いな……。

私は“断る勇気がない自分”が好きじゃなかった。

だけど、ユウさんはそんな私を認めてくれた。

後ろ向きな感情も、前向きに変えてくれる。

ユウさんの言葉は本当に魔法みたい。
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