イケメン年下男子との甘々同居生活♪
 ズカズカと乱雑に家の中に入っていく。
 なんだか、こっちまでイライラしてきたので、私もドアを閉める時にいつもより強めにバタンッ! と、音をたてて閉めてしまう。

「いい加減にしなさいよ! なに? 何かあるなら言ってちょうだい」

 お酒を飲んで、いくら酔いが醒めてきていると言っても、体には大量のアルコールが入っている。
 少し強気な私が前に出てきているのかもしれない。

「そもそも、前も言ったわよね、家以外では節度を守って欲しいって、聞いてる? もう! 私の方が年上なんだから、少しは言うこと聞いて……」

 グチグチとお説教タイムに突入しそうになると、彼は今まで背中を向けていたが、急に振り返るなり勢いよく私に近づいてくる。
 すぐに壁際まで追いつめられると、志賀くんの顔が近づいてきた。

「な、何ヨ」

 こちらも負けないように力強く睨んでみると、彼の瞳から一瞬怒りの感情が消えたかと思うと、私に被さってきた。
 そして、そのままお酒の香りがする唇に触れてしまう。

「ん⁉」

 しかも、いきなり舌を入れてきては私の舌に絡めてくる。
 ちょっと無理やりな気もするけれど、優しい感じは残っており、彼のキスで私の体の力はいつものように抜けていってしまった。

「な、何考えているのよ」

 スキを見つけて離すと、オデコとオデコを重ね合わせたまま会話をしていく。

「だって――年下に興味無いっていうから、その……」

「は?」

 ごめんなさい、いったい彼は何を言っているのだろうか? 意味が解らなすぎる。
 一瞬真顔になった私を見た志賀くんは、一気に顔を赤くしてまた唇を近づけてきた。
 さっきとは違い、今度はお互い熱のある柔らかいキスをする。

 壁の冷たさが私の背中に伝わり、前からは別の温もりがある。
 そっと背中に手がまわされ、私も彼の背中に手をまわした。

(華奢よね本当に)

 細く引き締まった体つきで普段は優しく大人しめな印象があるのに、こういったときは強引というより強気なことが多い。
 もう数回既に体を重ねているので、だいたい反応がわかりだしてくる。

「ごめんなさい、私お風呂に――ひゃっ⁉」

 お風呂に入りたいと伝えようとしたのに、彼は私を抱きかかえるとそのまま自室へと連れていってしまう。
 いやいや、仕事終わりでしかもお酒を飲んできたばかりだから、せめて歯だけでも磨かせてぇ! なんて、内心では思いながら、ベッドまで案内されてしまう。
 意外と自分は受け身なのだなと思いつつ、上からの体重に心地よさが増していく。

「紗香さん」

 特別なときだけ、可愛い声で呼んでくれる。
 だから私もそっと耳に口を近づけてこう呼んだ。

「なに? 樹くん」

 それを聞いた彼はちょっとだけ嬉しそうな顔をすると、私のシャツから見える鎖骨にそっとキスをしてきた。
 その感覚だけでゾクゾクと全身に軽い電流が流れたような感じになってしまう。
 それから段々に下へと下がっていき、一番大切なところに到着するころには全身が樹くんのキスマークで埋め尽くされていた。

「俺、年下だから頼りないですか?」

「まだ言っているの?」
 
 しばらく彼に身を任せていると、不意に聞かれた。
 不安そうな顔が私を見つめてくる。
 
「安心して、別に年下とか年上とか全然私は気にしないから」

 ちょっとだけ嘘をつく、でも、私の答えをきいて嬉しそうな顔をする彼は、そのまま私の中へと入ってきた。
 まだ奥まで到達するまえに、私は軽く震えてしまう。

 年齢はあまり関係ないと思うし、実際こうやって抱き合ってみると益々そう思うようになった。
 本当は志賀くんほど若いと、気後れしちゃいそうになる……そんなことを考えたけれど、今はこの心地よさに流されても良いかなって思える。

 
 もしかしたら、私は志賀 樹くんのことを好きなのかもしれない。
 体を重ねるたびに、彼の体に馴染んでいくのがわかる。
 今だって、こんなにも感じてしまっていた、どこかで逃げる自分がいたけれどきっちりと向き合わなければならない。

「紗香さん……」

「っな、なに?」

「キスしていいですか?」

「今更それを聞く?」

 全部終わって、いつもなら寝てしまいそうになるが、今は幸福感みたいなものにも包まれており、思わず彼の頭を撫でてしまう。
 それを返事と捉えたのか、そのままキスをしてきた。
 もちろん、私も目を閉じて受け入れると、そのキスは今まで一番優しくて、そしてちょっぴり変な香りがしたけれど、不思議なことにそれすらも心地よく感じてしまう。

 お酒とセックスの疲れから、お互い立てずにそのままベッドに入って無言で時を過ごしていく。
 この時だけ、彼は私の胸元に顔を埋めながら甘えるようにスリスリとしてくるので、眠るまでの間頭を撫でであげるようにしている。

「お風呂入りますか?」

「無理かも、私眠くて……」

「俺もです……」

 お互いの息遣いが小さくなっていく。
 私はベッドの上にある志賀くんのアラームの設定をきると、そのまま眠りに入っていった。
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