イケメン年下男子との甘々同居生活♪
 土曜日は、ゆっくりと過ごしていく。
 昼頃になると、女性の日がきてしまい若干憂鬱になるけれど目の前で珈琲を飲みながらパソコンで仕事をしている好きな人を眺めていると、不思議と元気がでてくる。
 
「そういえば、明日は出かけますか?」

「ん? あぁ、そうね……うん、冬物とかも揃えたいから」

 短いやり取りで、明日の日程を決めるとパチパチとキーボードで何かを打ち込んでいると、私に画面を見せてくる。

「どの車が好みですか?」

 レンタカーショップにアクセスしており、車種を選ぶ場面だったけれど、どの車が良いのかわからない。
 だから私はどこに買いにいくのかを聞いて、そこなら小さい車のほうが良いのでは? 的な会話の流れで小回りの利く軽自動車を選んだ。

「もっと大きいの選ぶかと思いましたが」

「なんで? 目的と用途にあったのを選んだまでじゃない、それに普通は電車とかを使っていくからレンタカーなんて贅沢よ」

 カード情報を打ち込んで、決済の確認が済むとまたお互いの時間に戻っていく。
 ちょっと、気分転換で先週変えた芳香剤の香りにもすっかり慣れてしまってわからないけれど、きっとその香りもこの空間を彩ってくれているのだろう。
 夕方になると、二人で料理を作る。
 私がサポートをして、彼が作るのだけど……今日のカレーうどん本当に美味しい、びっくりしちゃう、しかも意外と簡単に作れたので今度こっそり練習したいと考えた。

「さて、今日はゆっくりしましょう」

 ご飯を食べ終えると、先日できなかった映画鑑賞をお風呂上りから開始していく。
 素直な感想を述べると、私がお気に入り登録していた二つは微妙だった……パニックホラー系かと思ったらなぜか急に主人公が無双しはじめたり、ヒューマンドラマかと思ったら男性二人の濃厚な絡みが主体となっていしまった。
 まぁ、その、後者の映画は個人的には興味あったのだけれどね、樹くんと一緒じゃないときに観ようと決めた。

「ふぅ、さすがに二本続けてだと疲れますね」

「そうね、思ったより疲れるわね」

 画面を消すと、私たち二人の姿が映る。
 肩を寄せ合って、頭と頭をくっつけていた。
 その後は自然とキスをして、二人だけの空間を楽しんでいく。
 
「もう少し待っててね」

「大丈夫ですよ。それに、ほらこんなこともできますし」

 彼の膝の上にのせられ、後ろから抱きしめられる。
 なんだか今日は後な気分なのだろうか? 私は相手の顔が見れないからアレかなぁって思ったけれど包まれている感じがあって、これはこれでとても心地良いと思えた。

 しばらく、黙って過ごしていくと、次第に頭がとろけていくような感覚になる。
 私は後ろを向くと、そっと頬に唇を当てた。
 二人で笑いあう、比較的広いマンションだけど世界の中心はこのソファー、もちろん場所が変わればそこが起点となる。

「どうする? 一杯飲む?」

「それは魅力的ですが、下手すると明日二日酔いになる確率が非常に高いですね」

「そう? それでも私は構わないけれど」

「えっと、俺は紗香さんと出かけたいので……」

 その一言が嬉しい、今度は私も彼を向いて会話を進めていく。
 明日行く場所、どこでお昼を食べるのかなど、まるで初めてのデートのような感じがしてちょっとだけ、くすぐったい。

「紗香さんと出かけるのて、久しぶりな気がしますね」
「そうね、私たちって出歩かないかなら、それに樹くん最近は土日もお仕事行ってたりするじゃない?」
「そうですね、その点は申しわけないです。あと少しで落ち着きそうなので……」
「無理だけはしないで、早く終わらせようとして無理しちゃったら、いくら若くても体に悪いから」

 それから、軽くアイスを食べて歯を磨くとベッドに入り、雰囲気が良くなるけれど樹くんはぐっと我慢してくれる。
 たまに、人の話で聞くけれど……正直私は無理、言われたら頬っぺた叩きたい気持ちになるだろう。
 少し寒くなってきた寝間着にお布団、それらも購入しないといけないが、こうやって二人で引っ付いて眠ることができるのは、素敵なことだと思う。
  
 いつも、最初は私を抱きしめてきてくれるけれど、眠る間際になると私が彼の頭を抱いている。
 こうフワフワした毛先が気持ちよいし、こういったタイミングでしか私が年上らしさを発揮できない。

「おやすみなさい」
「おやすみなさい」

 暗い部屋で、ささやく声が響いてすっと呼吸音だけが聞こえてくる。
 この音が、次第に寝息に変わるのはいつも彼が先だ。 暗闇に目がなれてくると、寝顔を観察できるけれど男性の寝顔ってどうしてこうも可愛いのだろうか?
 いや、私だけでないはずだ。 いつも、クールぶっているが寝てしまえばただの年下、長いまつげをツンツンしたり鼻の穴に指を入れたりしているのは、私だけの秘密でたぶんバレていないだろう。

「本当、凄いわね」

 幼さが残る表情、これであの会社の代表なんだから大したもんだ。
 それを表に出さないのも素敵だけど、最初の動機育ての祖父と祖母を楽にさせてあげたいなんて……。

 彼から元気を貰える。
 だから私も頑張ろうと思えた。
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