イケメン年下男子との甘々同居生活♪
料理が完成し、私たちはいつものように座るとちょっと早めの夕食を食べ始める。
最初の乾杯はお互い軽めからスタート、でも彼はアルコール入りではなくソフトドリンクからなのはご愛敬ということにしておこう。
「どうしたの? 飲まないの?」
「僕は漂っている匂いだけでも酔えますよ」
冗談のように聞こえて、本当だからこちらもペースを考えなければならない。
ごくまれに、ちょっと勢いにのってしまうとガタガタと一気にきてしまうので、今日ぐらいはしっかりしたいと考えていた。
普段はあまり飲まない度数の低いカクテルに、ちょっと色の濃いビーフシチューがよくあう。
「美味しいのね最近の缶酎ハイって、本当に久しぶりに飲んだかも」
「そ、そうですか? どれも僕にとっては強すぎて、はっきり味を覚えていないんですよね」
ちなみに、一度様々なお酒の香りを嗅いでもらって、どれか一つでも体にあう代物はないかと探したが、やはりアルコールそのものを受け付けないようで、結局諦めてしまった。
でも樹くんは、気にせずに。
「ずっとこうだったので、特別気にしていませんよ」
と、言ってくれた。
「うーん! 美味しい、幸せ」
ついつい、美味しいご飯に箸が伸びてしまいお酒も進んでしまう。
そろそろもう少し強めのでもと思っていたが、ふとよくテーブルの上を見ると料理が思ったほど減っていない気がした。
「あれ? 具合でも悪い?」
目の前の彼は、なぜかソワソワとしており、もしかすると酔ってしまったのかもしれない。
だけど、頬は赤くないし目もトロンとしていないので大丈夫そうなのだけど? 不思議に思って箸をテーブルに置いてしまう。
「べ、別に大丈夫ですよ。ただ……」
そろっと視線が泳いでいく。
こんなときは、何かを隠していることが多いと最近気が付いていた。
しかし、樹くんの瞳が外を向いたとき、今までの表情から一気に驚きの顔になっていく。
「えっ……ちょ、ちょっと紗香さん!」
「な、なに?」
私も外を見ると、カーテンの隙間から薄っすらと何かが舞うのが目に入ってくる。
「え? ウソ⁉」
慌てて外に出ると、ビュワっと冷たい風が通り過ぎていく。
吐く息がこれでもかというほど白く、暗い空に溶け込んでいく。
そんな世界にフワフワと舞う存在が私の手のひらに落ちてきた。
「雪……」
私がここに来て以来、ホワイトクリスマスなんて初めての出来事かもしれない。
スッと溶けていく結晶は淡く、そして儚いが今まで見てきた雪の中でも飛び切り綺麗だと思えた。
「ねぇ! ほら、雪よ……って⁉」
まだ部屋にいると思っていた樹くんを呼ぼうとすると、背後から優しく抱きしめられる。
彼の顔が私の肩にのってくると、横顔が視界に入り込んできた。
「寒くないですか?」
「うん、大丈夫」
「急に飛び出していくからビックリしましたよ」
「そう? でも、ほら飛び出すだけの価値はあると思うんだけど」
また、夜空から私の方に向かってくる雪を取ろうと手を差し出していると、そこに彼の手が重なったと思うと、私の左手の薬指に何かをはめていく。
「え?」
驚いて指を確認してみると、キラリと光る淡いピンク色のダイヤの指輪がそこにはあった。
「え? え! えぇ⁉」
何が起きたのか把握できないでいると、樹くんはぎゅっと力を込めて私を抱いてくる。
「紗香さん、大好きです……僕と一緒になってくれますか?」
短い言葉、だけど凄く力がこもっていて、それで震えていた。
私はただ黙って左手の薬指を眺めていると、段々と状況が理解できてきた。
「ま、まさか? これって?」
「そうですよ。そのまさかですよ」
困ったような声でさらに私を抱きしめてくる。
きっと怖いのかもしれない。
ど、どうしよう……まさか、このタイミングでまさかプロポーズされるなんて考えてもいなかった。
「もしかして、ダメですか?」
ついに悲しい声になってしまう。
「ダメじゃない! 全然ダメなんかじゃないんだから……だ、だって……信じられなくて」
ぐすっと視界が滲んでいく。
どうしよう。 嬉しすぎて勝手に涙があふれてきてしまう。
「よかった。断られたらどうしようって思ってて」
「断るわけないじゃない! 嬉しい、ありがとう……」
くしゃくしゃになりかけている自分の顔を彼に向けると、そこには安堵に満ちた恋人がいた。
自分から返事の代わりにキスをすると、優しく受け止めてくれる。
唇と唇が重なるだけの優しいキスをすると、今までホロホロっと降っていた雪はいつの間にか量を増やし私たちを包み込んでいた。
「大好きです」
「うん、私も大好きよ」
外はまだ寒い、だけど私たちはこんなにも温かい。
そっと体重を預けて、耳を胸板にあてると、バクバクと心臓が激しく動く音が聞こえてくる。
緊張していたのだろう、だからその心地よい鼓動に自分の泣き顔を埋めて隠してしまう。
ゆっくりと私の頭に顔をのせて、ただ黙っていてくれる。
「ありがとう」
「僕こそ、紗香さんに出会えてよかったです」
しばらく黙っていると、段々と体が冷えていくのがわかり部屋の中に戻ることにした。
少し乱れた髪と顔はそのままで、椅子に座ると私たちのクリスマスは再開される。
「お? 飲んじゃう?」
「もちろん! 頑張った自分に乾杯!」
「ほぅ! それじゃぁ私も飲んじゃうわよ! 乾杯」
カンっとグラスがぶつかりひと口飲んで笑顔になる。
「これからもよろしくね」
「見捨てられないように頑張ります」
まさか、私が樹くんを見捨てるなんて考えられない。
だって彼は私に教えてくれた。 愛し愛される喜びと、ちょっと歳が離れていても大丈夫ってこと。
数えきれないほど与えてくれたので、私は今までの倍を与えたい。
すると、彼は間違いなくその倍を私に与えてくれるだろう……たぶん、ずっと順調だなんて無理、でもそうやって二人で歩んでいけたらきっとこれから乗り越えていけそうな気がする。
「ねぇ」
「ん? なんですか?」
「愛しているわ」
年下の男の子に懐かれているうえに、なぜか同棲することになったのですが……完
最初の乾杯はお互い軽めからスタート、でも彼はアルコール入りではなくソフトドリンクからなのはご愛敬ということにしておこう。
「どうしたの? 飲まないの?」
「僕は漂っている匂いだけでも酔えますよ」
冗談のように聞こえて、本当だからこちらもペースを考えなければならない。
ごくまれに、ちょっと勢いにのってしまうとガタガタと一気にきてしまうので、今日ぐらいはしっかりしたいと考えていた。
普段はあまり飲まない度数の低いカクテルに、ちょっと色の濃いビーフシチューがよくあう。
「美味しいのね最近の缶酎ハイって、本当に久しぶりに飲んだかも」
「そ、そうですか? どれも僕にとっては強すぎて、はっきり味を覚えていないんですよね」
ちなみに、一度様々なお酒の香りを嗅いでもらって、どれか一つでも体にあう代物はないかと探したが、やはりアルコールそのものを受け付けないようで、結局諦めてしまった。
でも樹くんは、気にせずに。
「ずっとこうだったので、特別気にしていませんよ」
と、言ってくれた。
「うーん! 美味しい、幸せ」
ついつい、美味しいご飯に箸が伸びてしまいお酒も進んでしまう。
そろそろもう少し強めのでもと思っていたが、ふとよくテーブルの上を見ると料理が思ったほど減っていない気がした。
「あれ? 具合でも悪い?」
目の前の彼は、なぜかソワソワとしており、もしかすると酔ってしまったのかもしれない。
だけど、頬は赤くないし目もトロンとしていないので大丈夫そうなのだけど? 不思議に思って箸をテーブルに置いてしまう。
「べ、別に大丈夫ですよ。ただ……」
そろっと視線が泳いでいく。
こんなときは、何かを隠していることが多いと最近気が付いていた。
しかし、樹くんの瞳が外を向いたとき、今までの表情から一気に驚きの顔になっていく。
「えっ……ちょ、ちょっと紗香さん!」
「な、なに?」
私も外を見ると、カーテンの隙間から薄っすらと何かが舞うのが目に入ってくる。
「え? ウソ⁉」
慌てて外に出ると、ビュワっと冷たい風が通り過ぎていく。
吐く息がこれでもかというほど白く、暗い空に溶け込んでいく。
そんな世界にフワフワと舞う存在が私の手のひらに落ちてきた。
「雪……」
私がここに来て以来、ホワイトクリスマスなんて初めての出来事かもしれない。
スッと溶けていく結晶は淡く、そして儚いが今まで見てきた雪の中でも飛び切り綺麗だと思えた。
「ねぇ! ほら、雪よ……って⁉」
まだ部屋にいると思っていた樹くんを呼ぼうとすると、背後から優しく抱きしめられる。
彼の顔が私の肩にのってくると、横顔が視界に入り込んできた。
「寒くないですか?」
「うん、大丈夫」
「急に飛び出していくからビックリしましたよ」
「そう? でも、ほら飛び出すだけの価値はあると思うんだけど」
また、夜空から私の方に向かってくる雪を取ろうと手を差し出していると、そこに彼の手が重なったと思うと、私の左手の薬指に何かをはめていく。
「え?」
驚いて指を確認してみると、キラリと光る淡いピンク色のダイヤの指輪がそこにはあった。
「え? え! えぇ⁉」
何が起きたのか把握できないでいると、樹くんはぎゅっと力を込めて私を抱いてくる。
「紗香さん、大好きです……僕と一緒になってくれますか?」
短い言葉、だけど凄く力がこもっていて、それで震えていた。
私はただ黙って左手の薬指を眺めていると、段々と状況が理解できてきた。
「ま、まさか? これって?」
「そうですよ。そのまさかですよ」
困ったような声でさらに私を抱きしめてくる。
きっと怖いのかもしれない。
ど、どうしよう……まさか、このタイミングでまさかプロポーズされるなんて考えてもいなかった。
「もしかして、ダメですか?」
ついに悲しい声になってしまう。
「ダメじゃない! 全然ダメなんかじゃないんだから……だ、だって……信じられなくて」
ぐすっと視界が滲んでいく。
どうしよう。 嬉しすぎて勝手に涙があふれてきてしまう。
「よかった。断られたらどうしようって思ってて」
「断るわけないじゃない! 嬉しい、ありがとう……」
くしゃくしゃになりかけている自分の顔を彼に向けると、そこには安堵に満ちた恋人がいた。
自分から返事の代わりにキスをすると、優しく受け止めてくれる。
唇と唇が重なるだけの優しいキスをすると、今までホロホロっと降っていた雪はいつの間にか量を増やし私たちを包み込んでいた。
「大好きです」
「うん、私も大好きよ」
外はまだ寒い、だけど私たちはこんなにも温かい。
そっと体重を預けて、耳を胸板にあてると、バクバクと心臓が激しく動く音が聞こえてくる。
緊張していたのだろう、だからその心地よい鼓動に自分の泣き顔を埋めて隠してしまう。
ゆっくりと私の頭に顔をのせて、ただ黙っていてくれる。
「ありがとう」
「僕こそ、紗香さんに出会えてよかったです」
しばらく黙っていると、段々と体が冷えていくのがわかり部屋の中に戻ることにした。
少し乱れた髪と顔はそのままで、椅子に座ると私たちのクリスマスは再開される。
「お? 飲んじゃう?」
「もちろん! 頑張った自分に乾杯!」
「ほぅ! それじゃぁ私も飲んじゃうわよ! 乾杯」
カンっとグラスがぶつかりひと口飲んで笑顔になる。
「これからもよろしくね」
「見捨てられないように頑張ります」
まさか、私が樹くんを見捨てるなんて考えられない。
だって彼は私に教えてくれた。 愛し愛される喜びと、ちょっと歳が離れていても大丈夫ってこと。
数えきれないほど与えてくれたので、私は今までの倍を与えたい。
すると、彼は間違いなくその倍を私に与えてくれるだろう……たぶん、ずっと順調だなんて無理、でもそうやって二人で歩んでいけたらきっとこれから乗り越えていけそうな気がする。
「ねぇ」
「ん? なんですか?」
「愛しているわ」
年下の男の子に懐かれているうえに、なぜか同棲することになったのですが……完