Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―
義姉の秘書だけが、俺の本意を理解してくれた。誰にも言えなかった初恋を叶えることが俺の原動力になっていることを、彼は認めてくれた。
けれども、よくよく考えると俺の行動は母親の夢見がちな行動と似ていたらしい。
双子の弟たちにそのことを指摘され、愕然とした。
――アキフミおにいちゃんは、たったひとりのお姫様しか興味がないんでしょう? 王子様を探していたおかあさんとなんら変わらないじゃん。
俺たちは可愛い女の子なら全員お姫様扱いしちゃうけどね、という双子の言葉は聞こえなかったふりをして、俺は素直に受け止め、言い返したのだ。
「何をわかりきったことを。俺はネメしかいらないんだよ」と。