Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―
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初恋の想い出にすがって夢を叶えていく俺を危惧した母親は、ピアノを弾ける女性なら誰でもいいと思ったのだろう。義父に適当な結婚相手を見繕わせて俺と見合わせようとしている。いまのところ大きな動きは見られないが、新社長が花嫁を探しているとの噂が長野支店にも届いていたようで、若い女性社員たちにしきりとアプローチされてしまった。
そんなときに別室で待っていたネメが火傷したと知って、いても立ってもいられなくなってしまった。支店長から鍵を借りてシャワー室に彼女を連れ込み、看病だけするはずが、無防備な彼女が可愛すぎて、火傷の手当以外にキスと愛撫を施してしまった。シャワーの音で彼女の甘い声は外に漏れてないはずだが、このことが添田以外に露見したら、厄介なことになるのは目に見えている。
結局、長野支店をあとにしてから夕方まで軽井沢周辺でデートをする予定は後日に持ち越した。屋敷の寝室でもっと彼女を可愛がりたいと、俺がわがままを言ったからだ。ネメは信じられないと頬を膨らませていたが、俺に気持ちいいことをさせられるのはイヤではなかったらしく、屋敷に戻ってからも珍しく素直だった。就寝前のキスに溺れてシーツに倒れ込んだ彼女の、なんと淫らで愛らしいことか。