Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―
唯一の愛を乞うシューベルト《6》
何度も何度も「すきだ」と言い聞かせて、泣き出してしまった彼女をお姫様抱っこして、寝室へ戻る。いやいやをするように首を振るネメに、「俺にはお前しかいないんだ」とやさしく髪を撫でながら、深く口づけをする。蕩けるような接吻を与えれば、彼女は頬を真っ赤にして、「ン」と可愛い声をあげる。愛人としてではない、花嫁としてお前を抱きたい。そう囁けば、ネメが観念したのか「本気?」と首を傾げる。
何を当たり前のことを、と笑いながら夜着を脱がせて、ふだんよりも丹念に彼女にふれる。
施される愛撫を前に、それ以上ネメは抵抗しなかった。