光と愛(仮)
回想
普通の家に生まれた。特別金持ちというわけでもなく、かといって貧乏すぎるわけでもない。ただ他の友達より家が狭かった。親に、うちはお金がないんだからと言われた。そんな家庭で平凡に育った。
生まれてすぐのことは覚えていないが、特に変わったこともなく、色んな子と遊ぶ友達の多い子供だった。小学校低学年まではほとんど日に焼けることもなく、笑顔でおどけるようなこともあった。高学年になると笑顔の写真が減って、真顔でいることが多くなった。勉強の面では国語が得意だったのに対して数学はできなかった。再テストを受けることもあった。そんな小学生の頃、母親に言われた。
「遊んでいるように見えるあの子だって、家では努力しているのよ。」
ああ、私にもそういう子になってほしいんだ。たぶん、無意識にそう感じ取って、私は真面目で優しい子の道を選んだのだろう。漢字のテストは満点、他の教科もそれなりに。数学でもし再テストになったらひた隠しにする。そんな生活だったと思う。友達も変わった。少人数の固定された友達とずっと一緒にいるようになった。
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