思い浮かぶのは、君の事。
午後になりやっと当番が終わりひと段落した。
圭太は経理を任されており、午前中の売り上げの計算が終わるまでテントに残っているらしく。2人は先にのぼる達がいる屋台に腹ごしらえをしに向かおうと、テントの外へ出ようとした時、晶のスカートのポケットからひらりと白い紙が舞い、静かに武の足元に落ちた。


「おい晶、なんか落ち…」

と声を掛けたと同時に
半分に折られた隙間から中が見えてしまい目に入る。


” 今日の夕方6時、3棟の屋上で待ってます ”

文面でなんとなく嫌な予感。
武は昨日のエリカの話を思い出していた。



…先程、晶が遅れた理由が分かった気がした。



「??…あっ!」

晶はきょとんと振り返ったが、紙に気付くと慌てて手に取り、急いでポケットにしまった。


「っ早く行こ!お腹すいちゃった!」


中を見られたことに気付いていない晶はぎこちない笑顔を向けると再び歩き出した。
気にならないわけがないが聞き出すわけにもいかず、その後ろを不穏な気持ちのままついて行く武だった。
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