私の知らない恋の話。

人生でモテ期は2回来るらしい。

「朝倉さん」
「ん？」
「今日放課後って空いてる？ちょっと話したいことあるんだけど」


朝の昇降口。
どこからともなく現れた彼は、なぜか顔を赤く染めている。


……なんとなく、理由は分かっているんだけれども。


「ごめん、今日はちょっと」


ごめんね、ともう一度言って、男の子から逃げるように教室に向かった。


……なんだか知らないけど、この高校は恋愛に飢えているのかして、よく告白される。
人生にモテ期は2回くるとか言うけど、あれは雑な統計だろうし、こんなところで、その一回を消費するくらいなら、大学に行ってからとか、社会人になってから、の方が充実する気がする。


なんて、本当に女子高生なのか疑うような思考を持ってしまっている私は見ての通り可愛くないから狙わないでほしい。


「おはよー、朝倉」
「あ、おはよう……」
「何？すごい気怠げな顔してる。可愛い顔が台無しだよ？」
「……あれ、森沼くんってそんなキャラだっけ」