私の知らない恋の話。
「泣かないでよ、明日目腫れちゃうよ?」
「なぎのせい……」
「なんでそんな情緒不安定なの」
「なぎのせい……」
「全部私のせいにすればいいと思わないでよ……」
「なぎが、鈍感で、馬鹿で、天然、なのが悪い」
「はぁ?」
「普通ここまでしたら気づいてくれるもんじゃないの!?」



もえは本当に泣き虫で、昔から小さい声でしくしく泣いて、私が隣に行ったら、うわぁぁ、っと当たり散らすタイプだった。


うんそうだね、なんてしっかり軽く流していた私としては、別になんとも思ってなかったけど、今になってこれを見ると、あぁ成長したからなぁ、と残念に思う。



「もえ、私たち心繋がってるわけじゃないから言ってくれなきゃわからないんだけど?」
「もうやだ〜……なぎ嫌い」
「なんでそうなるの……」
「なんで……なんで、俺がこんな態度に、出してるのに……。
なぎは何で、俺がなぎのこと好きなの、気づいてくれないの?」
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