私の知らない恋の話。
ふたつに結った髪を撫でながら、体を起こして私のことをじっと見る恋花。


「とりあえず……私はもえぎくんのこと応援する。
それでみなちゃんが幸せかどうかなんてわかんないけど、片想いは報われてほしいなぁ……」


ズズッ、とストローが鳴る。


「……みなちゃんの、何が良いんだろ」
「ちょっと失礼だけどね」
「知ってるー……」


案外、他人の相談に思い詰めてくれる子らしい。
優しい子だな、本当に。
森沼くんが好きな理由、何となくわかる。


……もえが私のことを好きな理由は、一生わからない。







◇ ◇ ◇


ということで朝早い電車に乗って、京都へ。
今日のお金はどうしてももえが出すって言って聞かなかったから、既に電車代も払ってくれてしまっている。


「もえ、本当にいいの?」
「うん……なぎが楽しいなら良い」


じーっと流れる景色を眺めて、口を尖らせるもえ。
いつも通りノーセットの髪が電車の振動でサラサラ揺れている。
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