余命1ヶ月の恋
3週間がすぎた頃には体はガリガリにやせ細り、誰が見ても普通ではなかった。その姿を知っているのは3日に1度お見舞いに来てくれる美羽先輩だった。健吾先輩にはサボりだと伝えている。流石に癌のこと、あとの時間は1週間くらいだということ。話した……美羽先輩の顔が見れなかった。俯いたまま涙を流し続ける。その時、ふわっと抱きしめてくれた。あの口下手な美羽先輩が震える声で「寂しかったね」「偉かったね」「これから最後まで毎日逢いに来ていい?」なんて言ってくれるもんだから嗚咽で返事もできずコクコクと頷いた。暖かかった。こんな状況だからか、命の時間が残りわずかだからか、好きになってしまった。いや、好きだったのかもしれない。でも、この事は美羽先輩には言わないでおこうと強く決めた。