恋愛偏差値$完
「あの日、あの夜。梓と柚菜で。二人きりで、梓の家で」
「なにって……」
あたしは酔っててわからなかったこと。
そのことを想像して顔が赤いのがわかる。
「………よかったな。お前、梓のこと好きだもんな。両思いだってことだろ」
前、あたしが伸先輩に頼んだこと。
両思い、憧れてた。
好きな梓先輩と両思いだったら、って。
でも今は違うよ、両思いになってもうれしくないよ。
あたしの気持ちはもう…
「あたし…伸先輩に協力してもらってたけど、もう好きじゃないです。両思いなんかじゃありません」
伸先輩は普段とはありえないほど口を開いて、目もすっごく見開いている。
「だって、お前。あんなに梓のこと」
「気持ちは変わるんです」
あたし、あんなに梓先輩のこと好きだったのにもう今では……伸先輩なんだ。
あたしはちゃんと梓先輩のこと好きだった。
うそじゃない。
でも、今は…。
「なのに、お前…梓と?」