恋愛偏差値$完
前とは違った強い瞳でお兄ちゃんをにらみつける。
前会ったときは中学生で、お兄ちゃんに文句の一言も言うことができなかったけど、今は違うもん!
「なによ。いきなりやって来て、お兄ちゃんわがままばっかり!この間だって…お母さんが大変だったときになにもしてくれなかったくせに!あたしたち、大変だったんだよ?!お兄ちゃんがアメリカで通勤してたときだって、あたし、学校休んで必死に看病してたんだから!!肝心なときにいないくせに、お兄ちゃんヅラしないでよ!!!!」
言うだけ言って、あたしは部室を飛び出した。
言ってやった。言ってやったもん。
……後味が悪いのは、まだ言い足りないことがあるから。
そうに決まってる。
あたしは、もう暗くなった夜道をズカズカと歩いていた。
「お兄ちゃんヅラ、か…」
柚菜がいなくなった部室には梓とお兄さんと俺。
「……あとは二人に任せます。これから生徒会の仕事もありますし。伸がんばってネ」
「おいっ!梓?!」
うっわ…気まず。
俺はため息をついて、髪をかきあげた。
俺はお兄さんに嫌われてんだから…
「お前…」
「はっはい?」
なぜだか背筋が伸びた。