恋愛偏差値$完
……なにも、ないかもなぁ。
「ええと。それは」
自然に泳いでしまう視線。
その視線が先輩に注がれるように、先輩があたしの頭をおさえる。
「別にいいけど…かわりにゆーこと聞けよ?」
ゆーこと?
例えば、どんなの?
こんな交換条件が出されるなんて思っていなかったから。
驚きのあたしがひたすら目をぱちぱちさせる。
「パシリ、とか?」
にやにや笑いの先輩。
女の子たちはこの先輩にこうやって騙されてきたのかしら。
あたしは、そんな手には引っかかりませんよ!
「それは、嫌です!」
今すっぱり断っておかないとなにが起こるかわからないからねぇ。
恋愛テクニシャンのあたしが過去の一回の経験によって学んだこと。