恋愛偏差値$完



「部活、終わりました?」


なおとくんが部室に入ってきて、あたしのとなりに座った。



「ん。あとちょっと…」


「がんばってくださいね」



なおとくんは…伸先輩みたいな優しさはない。



伸先輩はこういうとき、手伝ってくれるもん。




「柚菜先輩て、昔から器用でしたもんね」


「ん…」


「先輩…?なんか元気ないですね?」



ばれないように小さくため息ついたのに、ばれちゃったのかな。



「どして?」


「先輩、さっきからため息ばっか。だれのせい?」



となりに座っているなおとくんがあたしの顔を覗きこむ。



今なおとくんが座っているのは伸先輩の席。


となりのひとが、伸先輩だといいのにな。



「おい柚菜?」


「伸先輩…」


今なおとくんが座っているのはいつもの伸先輩の席だからなんだか気まずい。



「あの…ファンの子たちは?」
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