恋愛偏差値$完
あたしは料理の置かれている長テーブルを利用して、伸先輩となおとくんの近くに移動した。
短いドレスのすそでよかった。
動きやすい、ハイハイの形で進んで行った。
『……先輩とこのごろ話してますか?』
『…べつに』
『心配してたんです。俺、最近柚菜先輩と伸先輩のことじゃましてるから。なんとも思ってないならいいんですけどね』
はぁぁ?!なんちゅー話してんのよ!!
あたしがいないからって~!あたしはここにいるっての!!
『でも、柚菜先輩、最近とってもため息が多いんです。誰のせいでしょうか』
『さぁ…』
『俺だったら、こんな思いさせないのに』
『は?』
『俺、柚菜先輩のこと好きですもん。この間、告白したじゃないですか』
伸先輩に誤解させるようなこと言わないでよ!
出て行くわけにもいかないので、あたしはドレスを握りしめるしかない。
『あ。そろそろパーティのメインなんで。重大発表、見逃さないでくださいね』
『…………』
コツコツとなおとくんらしき足音が遠ざかってから、会場が暗くなった。
これがなおとくんの重大発表?
このパーティのメイン?