恋愛偏差値$完
「柚菜まじなのか?」
スーツ姿の伸先輩があたしを見つめてくる。
「あ、あたしそんなこと…」
『柚菜先輩!ステージの上に上がってきてください』
なおとくんがいるのはステージの上。
招待客がステージへの道をあけた。
「ちょっ…!」
ステージではなおとくんが待っている。
こんなひとの多い中でどうしろと…。
「柚菜」
後ろから、伸先輩に腕をつかまれた。
「えっあの、あたし。どうしたら…」
「行ってほしくないって言ったらどうする?」
「へ?」
マイクを通してないからあたしたちの声はみんなに届いていない。
不思議そうな視線を向けられる。
「行ったら、婚約するってことだろ?」
「あたし、知らないです。告白はされたけど…」
伸先輩に向き直る。
「断るつもりでしたし……」