恋愛偏差値$完



「断れば?」


え?とあたしは伸先輩を見上げてしまう。



ここで?こんな大勢の中で?



「恥かかせちゃれ」



伸先輩は思いっきりひとごと。


口笛を吹いてる。



恥、なんて……。




「な、おとくん!」



マイクがなくても聞こえるような声。


なおとくんは残念そうな顔をした。




「あの、あたし、婚約だなんて…親が勝手に言ってたかもしれないけど、ええとっ!あたしには好きなひとがいて。だから、ごめんなちゃいっ!!」





か、噛んだーーー!!


サイアク……。



後ろで伸先輩が笑った。







『月島柚菜さんと婚約…てのはジョーダンで、どこそかのご令嬢と婚約します!』




その声を聞いたときには、あたしは伸先輩に手をひかれて、会場を抜け出していた。


< 164 / 371 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop