恋愛偏差値$完
「断れば?」
え?とあたしは伸先輩を見上げてしまう。
ここで?こんな大勢の中で?
「恥かかせちゃれ」
伸先輩は思いっきりひとごと。
口笛を吹いてる。
恥、なんて……。
「な、おとくん!」
マイクがなくても聞こえるような声。
なおとくんは残念そうな顔をした。
「あの、あたし、婚約だなんて…親が勝手に言ってたかもしれないけど、ええとっ!あたしには好きなひとがいて。だから、ごめんなちゃいっ!!」
か、噛んだーーー!!
サイアク……。
後ろで伸先輩が笑った。
『月島柚菜さんと婚約…てのはジョーダンで、どこそかのご令嬢と婚約します!』
その声を聞いたときには、あたしは伸先輩に手をひかれて、会場を抜け出していた。