恋愛偏差値$完
あたしたちは全身びしょびしょ。
せっかく巻いた髪も、高価なドレスも水がしたたっている。
「てめ…」
伸先輩のスーツもすべてびしょ濡れ。
「えっ…うわっ、ご、ごめんなさいっ」
「冷て。昼だったらちょーどよかったんだけどな」
とりあえず噴水から出なきゃ。
「先輩、手……」
あたしは先に立ちあがって先輩に手を差し出す。
手を差し出したんだけど、あたしの手を使わずに伸先輩は立ちあがった。
「さ、行くか」
立ちあがってから、その残された手を伸先輩は握った。
「やっぱ寒いな…。でも、お前の手、熱い……」
「えっ?」
あたしの額に手を伸ばした。
「熱、あんじゃん」
「えっ、ええと」
先輩の手のせいで、さらに熱があがった気がした。
「うち、寄ってく?」