恋愛偏差値$完
サッカーボールを飛ばした本人が来た。
「ごめんね~。ボール飛ばしちゃって…。伸キャッチしたんだ!すごいね。伸、キーパー苦手なのに」
柚菜が前好きだったひと。
梓先輩。
久穏伸、キーパー苦手なのに、柚菜を助けられたの?
「柚菜ちゃんたち、帰るんでしょ?僕が仕事しとくから、帰っていいよ。理香ちゃん、だっけ?帰るひとは??」
「彼氏と…」
誰にでも笑顔を見せるひとなのね。
優しい、ね。
「そう。じゃぁ、彼氏のとこまで送ってあげるから。行こ」
久穏伸が柚菜の肩を支えていた。
「おい。理香」
はぁ?最初から呼び捨てかよ。
「認めないんじゃなかったの?」
「……そんなこと、言ってません!!」
柚菜を守ったんだから。
あのうわさは前のものなんだから、今は違うんだから、認めるしかないじゃない。
「サンキュ」
柚菜は久穏伸に任せることにした。