恋愛偏差値$完
予鈴が鳴って、尋くんたちを先に教室に戻らせた。
部室を戸締りするため、あたしたちが残る。
「先輩…だいじょうぶですかね。顧問、頑固ですよ」
あたしには、むりだと思います、と。
「顧問はとことん親父だよな。頑固すぎだっつの」
失笑しながら、伸先輩は手を動かす。
あたしの手は止まってしまう。
「………」
「だいじょうぶだって。俺らしだいだと思うぜ。どうにかなんなくても俺が、どうにかするから」
見上げたら、大きなごつごつした手であたしの頭をなでる。
優しい笑顔。
あきらめたらだめなんだ。
先輩たちにたくさん教えてもらったじゃない。
「先輩、がんばりましょう」
たくさん勇気をもらった。
サッカー部に新しい道を開いてあげたい。